燕 第十一話:忍
第一節―――――
「名無し・・・、大丈夫か?」
水無月はまるで己のことであるように、心配そうな声で言った。それはユイが斬られた日の晩にさかのぼる出来事だった。
「案ずるな」
神無は名無しから離れると水無月を見向きもせず答えた。「それほど大事な怪我ではない。」
それを聞いて水無月は胸に手を当てた。忍同士ということもあり、名無しの怪我は神無が見ることとなった。何より、忍の治療技術は常人のそれを遥かに上回っており、名無しも水無月もそれは承知の上でのことだった。「だが、」
神無は水無月の動揺を確認するようにちらっと顔を向けて言った。「決して軽傷や、かすり傷などではない。腫れているのがわかっただろう・・・。」
神無は声を低くして続けた。「内出血だ。骨にわずかながらひびが入っている。しばらく、痛みは引かないな。肩を冷やしておくことだ。直らぬほどの怪我ではない。安静にしていろ・・・」
「入るぞ。」
声がすると戸が開いて師走の鬼の面が顔を出した。「私だ。水無月、話が・・・」
「後にしてくれ、」
神無はそう言って立ち上がると戸を開け、外へ出た。外に出ると廊下を部屋から離れるように歩き、師走に言った。「二人に、してやれ・・・。」
「名無し・・・。」
水無月は名無しに背後から近寄るとその背を眺めた。その背には無数、とまではいかないが、いくつかの傷があった。水無月は心配そうな顔をし、そしてふと名無しの背にある古い刀傷に気付いた。水無月ははっとし、回想にふけった。「(あのときの・・・。)」
その傷をなぞるように水無月は指で、名無しの背に触れた。その指が左肩の方まで上がると、水無月は名無しをそっと背後から腕を回して顔を近づけた。「名無し・・・私は・・・」
「っ!」
「はっ・・・名無し、大丈夫か!?」
水無月はさっと腕を放すと顔を遠ざけて心配そうに尋ねた。
「いえ・・・ただ、肩が。」
名無しは恐縮そうに返事をした。
「すまない・・・」
「水無月様が、謝られる必要はありません・・・私が・・・、無力なのです。」
「名無し・・・。」
「我々の居場所は奴らに知られている。少し早いが、場所を移すつもりだ。」
「あいつらなど、問題じゃない・・・。私が、殺ってやるさ・・・」
神無が答える。
「睦月が信用ならんそうだ。ここに居るのはもう不安だとな。明日から悟られぬよう少しずつ人を移す。お前は残るといい。」
手を組んだ師走が告げた。
「しかし・・・」
その発言は神無からすれば引っかかる。「移動中に襲われはしないか?」
師走はそんなことくらいわかっているはずだ。
「文月が同行する。」
その答えに、神無は間を開けてから答えた。
「・・・なるほどね、あいつ一人で充分なわけ?一体、アイツ・・・何者?」
「金で雇われる用心棒、根っからの殺し屋だ。『天下揺るがす黒薙屋』、その仲間の弥生という者も逸早く合流するそうだ。戦力としては余るほど、牽制にもなる。心配無用ということだ。」
横で師走の顔をちらと確かめる神無。鬼の面から覗いたその口は静かな、自信の微笑を浮かべていた。
―不明―
どこかの森の中、木のない広場に二人の少女が経っていた。一人はおっとりとして、清楚でどこか優しく親しい雰囲気を誰にでも感じさせる、そんなまだ幼い少女達だった。そんな彼女は文字通り、優しく親しみやすさを感じさせる笑顔で微笑んでいる。が、彼女から少し遠ざかるとそこには死体の山があった。どれも真っ赤に血で染まり、無残に肉塊に砕かれている。その死体の山の中、まだ立っている男性の前にもう一人の女性は立っていた。こちらの方は背丈が四尺七寸ほどしかない、小柄な少女だった。あたり一面血で染まった土の上に土足で立っているにもかかわらず無邪気で明るい顔をしている。それに服装は肌蹴た空手着からさらしで巻いた胸と肌が露出し、その下にはふんどししかはいていないきわどい格好だ。
「ねぇねぇおじさん、肝試ししよー♪」
小さな少女はつぶやいた。
「き、肝試し!?」
気の弱そうな男は尋ねた。「き、き、肝試ししたら・・・オラを見逃してくれるのかい?」
「するのしないの〜?」
少女はさっさと答えろと言わんばかりに、つまらなそうな顔をして見せた。その手に巻いた包帯には真っ赤な先決が染み付き滴れている。
「わ、わかった!肝試しだな!?」
「わーい、えい!!」
喜んで跳ねると、少女は一瞬でその左腕を思いっきり男の胸に叩き込んだ。そしてそのまま男の胸を掴み、捻り潰すように力を入れた。
「ぐっ・・・う・・・ぁぁ・・・」
男は声を上げる間も無く、胸の中の臓器が潰れる音とともに絶命した。
「あーあ、この程度〜?弥生つま〜んない。」
少女はさらに真っ赤に染まった手を抜いてつぶやいた。「わざわざ利き腕でやんなかったのにな〜、おっさんちっさすぎだよ〜ぅ。」
一方、もう一人の少女は男を変わった形状の鎖で締め上げていた。それを例の親しみのある笑顔で、心地よさそうに眺めているのだ。「あら、」
女性は鎖の出所である腕を上げ、首をかしげた。そして頬に腕に乗せて悩む素振りを見せた。だが鎖の出所である腕を上げたことにより、男の身体は一部ありえない方向へと捻られた。
「ぐああぁぁぁああ・・・!」
縛られた男は悲鳴を上げた。
「今晩のおかずのことを考えるの、すっかり忘れていましたわ。どうしましょう」
女性は全く男のことを気にかけぬ様子でつぶやいた。
「弥生お姉ちゃん〜、だったら弥生、お魚さんがいい〜♪」
小さな方の少女が振り向いて叫んだ。
「あらそう、だったら・・・」
そう言って今度は反対の腕は上げ、肩の上に乗せる。その腕も鎖の出所であり、また男を捻り、締め上げ悲鳴を上げさせる。「お魚さんにしましょうかしら〜♪」
男は遠のく意識の中少女の表情を見て疑問に思った。何故彼女の様な少女にこんなことができるのか、彼女は何も感じないのか、と。だが男はそのとき少女の顔を見て悟った。その微笑には、たしかに、楽しさが写っていた。彼女は楽しんでいる。そこに罪悪感や抵抗などというものは一切存在しない。
「相変わらずだな、」
その声におっとりした少女は振り返った。その勢いで男の身体は上半身と下半身が反対の方向へと捻られ、男の意識は飛んだ。
「あら、文月おじ様〜♪」
おっとりした女性は文月に向かってつぶやいて、頬に乗せた手を下ろし、そして肩に乗せた手を下ろした、わざわざ弧を描くようにして。男の意識が一時的に戻り、また絶叫した。そして、女性が手を軽く振ると男を縛り上げていた鎖は解かれ、どこからもなく彼女の腕の、裾の中へと収まった。「お久しぶりですわ♪」
にっこりとたっぷりの笑顔で彼女は丁寧に深々とお辞儀をしてみせた。
「ふっきーふっきー♪」
小さい方の女性も歩み寄った。
「背は伸びたか?」
文月が尋ねた。
「う〜ん、三分の一寸くらい♪」
少女は笑顔で照れ隠しして答えた。
「話にならんな。」
文月は普段と変わらぬ無表情の声で冷たく返した。
「なっ、肝試ししちゃうぞーー!!」
少女が拳を突き出すと、おっとりした方の少女がそのおでこを叩いて止めた。
「駄目よ〜、おじ様にそんなことしちゃ。」
「やれやれ、見て見れば・・・浪人経営の護衛団体を全滅か。」
文月がつぶやいた。
「仕方ないですわ、だって妹が、どうしてもって言うので」
おっとりした女性は答えた。
「どうしても殺したい、か。お前達らしいな」
傘から唯一除く文月の口は笑ってみせた。「で、お前達の下へ来たのは他でもない。受けてくれるな?」
「あら、愚問ですわ、おじ様♪」
と変わらぬ微笑みを放つ弥生姉。
「祭り♪祭り♪」
弥生妹が跳ねた。「血祭り大好き〜♪」
「ところで、」
文月は弥生姉の方へと向き直り、尋ねた。「お前が身に着けているその襟巻き、どこで仕入れた?」
「あら、ほしくなったのでつい♪」
弥生姉は答えた。文月には彼女の言っていることがそれだけでわかった。ただ、気になったのは、その襟巻きは色こそ違えど皐月が身につけているものと同じものだった。
―村外れの街道・宿屋―
「で、お客さんは奉行さんなんですか?」
旅館の女性は坊主頭の男に尋ね返した。
「ああ、奉行じゃ奉行。悪を裁き、この世から抹殺する御奉行様よ!」
男は調子のいい声で返事をした。圧迫感を放つ、少々大柄な、筋肉のよくついた男だ。「悪党はな、皆殺しだ!!全員ぶっ殺してぶっ殺してぶっ殺すのよぉ!!」
「お客さん、どうぞ。」
しかし男の勢いに全く引けを取らず堂々と酒を勧める女性の方もまた威圧感を放っている気がする。「で、お客さん。どうしてこのような田舎に来なさったんですか?」
すると男は杯を勢い良くおいて得意そうな顔で振りむいた。
「斬、っていう野郎をぶっ殺しにだ!!」
「で、その斬、って方は一体どんな人なんですか?」
「あいつは土佐の百人斬りと言われる男でな、残忍で最低な殺人鬼だ。そもそもわしは奴の親の代から追っておる。奴の親父も各地を放浪していた辻斬りの浪人でな、もとは石田軍に仕えておった侍らしいが。ある日土佐のとある山で村一番の娘を誘拐し、山に篭ったんじゃ。そして生まれたのが斬じゃ。所詮悪党の悪行から生まれた子だ、ぶっ殺される宿命にある!このわしが引導をくれてやるのさ!奴の親父は仕留めそこなったが、奴はわしが殺ってやるわ、グフ、グハハハ・・・」
笑いながら男は杯を手に酒を一気に飲み上げた。
第二節―――――
―「巣」・イスカの間―
ユイが斬られてから七日が経った。
「ご苦労、セイ。」
イスカが言った。
「奴等・・・一体何を企んでいる・・・?」
百舌がつぶやいた。
「移動先、引き続き調査を続けます。」
そう言って一歩退いたセイを引き止めるようイスカが声を出す。
「セイ、」
相変わらず迷いのない様な、そんな威厳堂々な佇まいである。「燕と組め。」
「燕と、ですか?」
セイは聞き返した。「承知。」
「それと、アンに伝えろ。ランを屋敷の方へ呼ぶようとな。」
「文月がここを知っているからか・・・」
百舌はつぶやいた。
「それだけだと思うか?」
イスカは百舌に向かって愚問のように尋ねた。
「む?」
「俺がどうしてそう判断したか、それだけだと思うのか?お前の考えるはずのことを、俺が考えたまでだ。」
その晩。
「はぁ、はぁ・・・」
燕は道場にて汗まみれで一人剣を振るい続けていた。燕はその手を休めた。わずかに開いた扉からは月明かりが差し込み、薄暗さを燕の周囲に、そして燕自身に対してもたちこませる。荒い、疲れきった呼吸を整えようとしてうつむいているその顔も薄く照らされている、ただ、汗で乱れきった髪がかかった目元だけを除いて。「はあ、はぁ・・・はあ、」
呼吸の仕方が不定期になりつつあることから体力的には限界なのだろう。だが燕は歯を食いしばった。何も考えず、がむしゃらに剣を振り上げ、それをまた振るい始めた。が、振り上げた手が掴まれた。急なことに驚き呼吸を抑え、燕は顔を後ろへと回した。そこにはアンがいた。アンは燕の腕を引っ張って自分へとその身体を向かせた。そして手を放つと燕の頬を勢いよく引っ叩いた。燕は力なくその場に倒れこんだ。
「貴方・・・ユイの傍に居てやらないの?最近・・・ここにばっか篭って・・・!何やってると思ったら・・・」
アンは哀しい目で、しかし気の毒そうにも心配そうとも取れる表情をして言った。「私は・・・、貴方達を、そんな弱い子に育てたつもりはないわよ・・・」
アンは燕の傍で膝をつき正座すると、忍び刀を燕の腕からそっと取り、傍にあった鞘へと器用に収めた。「さぁ、その格好で、汗掻いたままじゃ風邪を引くよ。湯に浸かって、身体も、心も休めてきなさい・・・。」
アンは優しく、かすかに微笑んでそう言い、燕の身体を起こした。
屋敷からすぐ近くに温泉がある。燕は一人、女湯へとその身体を浸かった。顔はうつむき、両腕は胸の前で交差するようにして反対の腕を掴んで、身は縮こまった様子であった。燕の顔は寂しそうに、うつむきながら左肩越しを覗くように向いていた。
「燕、ははは・・・」
今のように縮こまる自分に対し、無邪気な笑顔で水をかけてきたユイがいた。
「燕は・・・なんでここに来たの?」
ユイはその時尋ねてきた。「ごめん、本当はこんな事、聞いちゃいけないよね・・・。でもさ、ガクも言ってたの・・・、唯一の拠り所を奪われたって、だからここへ来たって。だから、やっぱり燕も・・・そうなのかなって、そう思ったの。」
そう言ってユイ自身もうつむいて続けた。「大切な人を、奪われたから・・・。だから私達はここにいるのかな・・・」
燕はそのときユイの顔を見て話を聞いていた、丁度縮こまって身体に寄せている左肩越しに覗くように。「でも・・・」
ユイは何を考えていたのだろう。何故そんなことを急に言い出したのだろう。おそらく・・・あれは、ゲンを殺してからまだ日数が経っていなかったはず。「私達も、奪っているのよね・・・もしかしたら、誰かの拠り所を、大切な・・・人を。もしかしたら、その人にとって・・・唯一の人を・・・。」
その後ユイは振り向いて明るく笑顔を見せた。「ごめんね、暗い話になっちゃって・・・。」
燕は身体の中から湧き上がる震えを、さらに身を縮こまるようにして抑えると、湯に深く浸かった。早く出よう、燕はそう思った。
―冬月亭―
斬は一人、庭の前の通路に座り、降り注ぐ雪を眺めながら思考にふけっていた。顔を下げ、斬は己の手を見た。指の形は丁度刀を握る形で固定されていた。すると隣に誰かが腰を下ろした。斬は顔を上げその者の顔を見た。
「どうかなされましたか?」
斬の隣に腰を下ろした卯月は尋ねた。「らしくありませんようですが。」
「疼きがねぇー」
斬は不機嫌につぶやいた。
「私がどうか・・・?」
卯月はふと斬の方へと顔を傾けた。
「疼きが、」
「疼き、ですか。」
卯月は顔を戻すと雪を見上げた。「私も・・・だいぶ昔に、疼かなくなりました・・・」
その言葉に斬は興味を持ったのか、しぶしぶ卯月の顔を覗った。「疼かなくなる、ということは、何かに慣れたしまった、ということではないのでしょうか?」
「・・・・・・」
斬の目は注意深くなった。
「何か、自分が、失ってしまったことに対し・・・慣れてしまった、つまり・・・気にかけなくなったということです。」
語る卯月の言葉には重みがあった。その顔はただ雪を眺めているだけであった。
「どうすればいい?」
斬は眉間にしわをよせて睨むように尋ねた。
「疼かずにはいられなかった、その時の『自分』を思い出すのです。貴方は変わったのでなく、ただ、昔の、本来の『自分』を忘れている・・・いえ、見失っている。それだけなのでしょう。」
諭すように卯月は告げた。
「忘れちまった本当の『俺』・・・」
斬は顔を下ろし、自分の手を見た。「疼かずにはいられなかった・・・『俺』」
斬の手が疼き始めた。「クックック・・・フ、フ、ハッハッハー!」
卯月はたか笑う斬の隣で顔を下ろし、自分の手を見た。その手はかすかに震えていた。「(静・・・私の時間ももう・・・。)」
だがその表情は全く変化してはいなかった。
「ああ、そうだ!俺は斬だ!ハッハッハ・・・殺りたいように殺るまでだ!わざわざあの仮面野朗の指示を待つこともねぇ、あの女に咎められようが関係ねぇ。あー疼くぜ、あー疼くね、疼く、殺してぇって疼くぜ、俺の本能が!」
―「巣」―
ユイの眠る部屋の障子が静かに、音を立てず開いた。ランは中に入り、ゆっくりと戸を閉めるとユイの傍へと近寄った。静かに、何事もないように眠るユイを前に、ランは震える手で胸から短刀を取り出して抜いた。怨み、憎しみ、ランはそれらの感情を顔にあらわにしていた。が、震えは・・・躊躇いと困惑を暗示させていた。ランは二の腕で震える手を抑え、短刀を力強く握った。そしてゆっくりと短刀を振り上げた。深呼吸をする。
そして・・・振り下ろした。振り下ろしたはずだった。だがその手は振り下ろす直前で止められた。そこにはアンがいた。顔を上げてアンを観たランの表情は泣き崩れかかっていた。その腕からは力が抜け、滑るようにして手は短刀から膝の上へと降りた。短刀をそれまで握っていた手は、ランの膝の上に置かれた。アンはユイを隔ててランと向かい合うようにして座った。
「貴方は・・・復讐しないと腹の虫が収まらないの?そんなに・・・弱いの?そんなことのために口実にされてるゲンが、可哀想じゃない・・・。」
その言葉は問いかけのようにも聞こえた。目を細めるアンは、燕に見せたものと同じ気の毒そうな表情をしていた。「貴方も・・・本当は殺したくはないはずでしょ・・・」
アンは優しく声をかけた。「ゲンだって、かつて貴方の保護者を殺した・・・」
「でも・・・!あの人は・・・、あの方は・・・!」
ランは顔を上げて叫んだ。涙は溢れんばかりで、しかしその泣き顔は救済を求めていた。彼女もわかってはいるはず、ただ苦しくてそれでどうしようもならない衝動をつい正当化しようとしてしまう。
「あの子が貴方の世話をしたのは・・・貴方にとっては大切な人を、奪ってしまったからよ。責任をとろうとしたの・・・奪うことは任務だったから。でもね、ユイだって同じよ。貴方から大切な人を奪ってしまったこと、あの子はとても強く抱え込んでる。だから責任をとりたいのよ、ユイも・・・。」
「ううぅ・・・」
ランはユイの前で頭を膝の上に落として泣いた。アンは立ち上がり、彼女の傍に寄って励ますように彼女を抱えた。そして一人、アンは外へと顔を振り向き、自分につぶやいた。
「(ったく・・・何で燕もこの子もこうな・・・そうか。イスカ、アンタは、だからアタシにユイの傍で張り込ませたのね。この子に、逸早くそれを知ってもらうために・・・。燕にも・・・知ってもらわないと。)」
第十一話 ―続―